現地建て替えのため休館していた「水木しげる記念館」が2024年4月20日にリニューアルオープンしました!
リニューアル後は、水木しげる先生(以下:水木先生)の波瀾万丈な生涯をメインに、「ゲゲゲの鬼太郎」や「悪魔くん」などの代表作、水木先生の名言などが、豊富な資料とともに紹介されています。
戦場での体験談などは、怖い、難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、水木先生の絵も添えてあり、足を止めてじっくり見たくなる内容です。
映像や漫画とともに学べますので、お子様の自由研究にもオススメです。
「水木しげる記念館」の基本情報
住所 | 鳥取県境港市本町5番地(MAP) |
---|---|
営業時間 | 9:30~17:00(最終入館16:30) |
定休日 | 年中無休 |
入館料 | 【一般】1,000円 【中高生】500円 【小学生】300円 【障がい者】300円 ※前売り券はそれぞれ100円引き |
駐車場 | なし |
電話番号 | 0859-42-2171 |
公式HP | 水木しげる記念館 |
SNS |
水木しげる記念館体験レポート
入館してすぐのホールで出迎えてくれる鬼太郎と目玉おやじ。
これより先は、筆者の視点で見て感じた水木先生の生涯を紹介します。
水木しげると戦争
リニューアル以降、水木先生の波瀾万丈な生涯をメインに再構成されたそうで、戦争体験等の展示物が並びます。
戦争と聞くと、死や恐怖のイメージが強く“怖い”と感じる方も少なくはないはず。
水木先生も例に漏れず、20歳で徴兵検査に合格し、夢や希望もなくなってしまった様子が描かれています。
「私の心の底には、絵が救ってかもしれないという心が常にある。私には本当の絶望というものはない。」
将来への不安や苦悩があるなかでも、絵が心の支えとなり懸命に生きた姿を綴った手記は必見です。ぜひ足を止めてご覧ください。
2年以上の軍隊生活の中では、上官による理不尽な暴力やイジメがあり、戦友たちとの死別し、左腕を切断されています。
当時の軍隊では「兵隊は殴れば殴るほど強くなる」などと言われ、マイペースだった水木先生はビンタされない日がないほどだったそう。
敵襲をうけ所属していた隊が全滅したり、麻酔なしで左腕の切断したりと苛酷な日々を物語るシーンでも、ぬりかべとの出会いや水木先生らしい絵と漫画が添えてあるため、大変読みやすくなっております。
水木シアター〜戦争体験〜
「水木シアター〜戦争体験」では、水木先生の2人の娘さんがナレーターとなり、「娘に語るお父さんの戦記」という作品にそった内容が語られています。お子様連れの方は、こちらのシアターをご覧になると良いでしょう。
展示物のほとんどが写真撮影可能ですので、自宅へ帰ってからゆっくり内容を見返すとより理解が深まりそうです。
そして漫画家に
戦地から日本へ帰り、漫画家になるまで長い道のりが記された「そして漫画家に」からは、鬼太郎世代の筆者も「見たことあるぞ!」と思える内容が増えてきました。
働きながら武蔵野美術学校に通ったそうで、水木先生が当時描いたクロッキー帳の一部も見られます。
さらに、アパート経営や紙芝居作家を経験し、ペンネーム「水木しげる」が誕生。当時は複数のペンネームがあったことも興味深い内容でした。
結婚式にのみ使われた義手や、水木先生の画材も見応えがあります。
少年誌への掲載が決まったころに娘さんが生まれ、丸い赤ん坊の顔を参考に、かわいらしい丸っこい少年の絵を繰り返し描いて練習していたとのこと。鬼太郎の顔が、丸っこいのも納得ですね。
水木しげるが描いた妖怪たち
リニューアル前から人気だった「妖怪洞窟」は、足を踏み入れるのに躊躇するほどリアルで、今にも動き出しそうな妖怪の気配を感じられます。
暗闇の中を進むと、美しい絵とともに妖怪たちを紹介するコーナーが現れます。
お馴染みの「一反木綿」「砂かけ婆」を見てホッとひと息。
妖怪は迷信だと考える方が多いかもしれませんが、予防薬も治療薬もないコロナ禍に「アマビエ」が注目されたのも何か意味があるのかもしれませんね。
水木しげるの漫画ワールド
少年誌でのデビュー作、少年同士の心の交流を描いた「テレビくん」、幼い妹を亡くした少年が異世界の入り口を見つけ、死んだはずの妹と出会う「丸い輪の世界」、本格的な伝記作品「20世紀の狂気ヒットラー」など、知らなかった漫画も多く楽しめました。
水木しげるの言葉
全35種類でランダムに配布される来館記念チケットの裏にも記載されている「水木しげるの言葉」は、思わず笑顔になるものから、心に響くものまでありました。
筆者のお気に入りは「虫とか草とかが吐く言葉は地球の言葉なんです」(水木しげるの大冒険 幸福になるメキシコ)です。
ぜひ皆様も、お気に入りの言葉を探してみてくださいね。
子連れにうれしいサービス
大人向けの展示が多い印象でしたが、お子様連れも楽しめる工夫がなされています。
オムツ台と授乳スペースのあるベビールームは、清潔感があり、赤ちゃんもお母さんも落ち着ける広々とした空間です。
ライブラリーでは、たくさんの書籍が楽しめます。
お土産を買うなら「な・ぷーんストア」
「な・ぷーん」とは、水木先生が厳粛な場所でひりだした芸術的なオナラの音のこと。「な・ぷーん」と鳴った不思議な音で、式場は笑いの渦に包まれたそうですよ。
な・ぷーんストアでは、書籍はもちろん、マスキングテープやハガキなども販売されていました。
水木しげる記念館限定のスタンプを作ることもでき、好きな文字を入れたオリジナルデザインが完成します。来館の思い出にぜひ、作ってみてください。
「水木しげる記念館」のおすすめポイント
鬼太郎をテレビで見ていた世代の筆者も、知らないことばかりでした。
今回のリニューアルでは、水木先生の波瀾万丈な生涯のなかでも戦争部分を増やされたそうで、想像以上に濃い内容となっています。
展示物をしっかり読もうと思うと、1時間では足りないくらい!!
大半の展示物は写真撮影が可能ですので、自宅で読み返すのもおすすめです。
2025年4月6日(予定)までの企画展「鬼太郎の誕生 —生まれかわる四つの物語—」も面白いので、ぜひ足を運んでじっくりとご観覧ください。
※本記事の情報は2024年6月19日時点のものです。最新の情報は直接取材先にお問い合わせください。
※写真の無断掲載・使用を禁止します。