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インタビュー

”おいしい水”と”昔”が残る鳥取だから、伝統に則ったパンが出来上がる。自然発酵のパン屋タルマーリー夫婦が語る鳥取の宝とは

 

「智頭町への移住の決め手は完全に、“水”ですね。あまりにもおいしくて感動したのを覚えています。」

 

鳥取県智頭町の山奥に佇むタルマーリー。

この名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。オーナー渡邉格(いたる)さん著書の『田舎のパン屋が見つけた「腐る」経済』は多くの反響を呼び、その名を馳せました。タルマーリーのパンはすべて天然酵母から作られたもの。空気中から麹菌を取り出す昔ながらの手法を用いて作られています。

菌も材料も水も天然素材にこだわる格さんが、“移住のきっかけは水”だとはっきりと語ってくださったことに、それだけ鳥取の水がすばらしいのだろうということを感じさせます。

今回は、格さんの妻であり女将である麻里子さんとともに、タルマーリーを営むお二人からみる鳥取の魅力についてお聞きしました。

自然発酵にこだわって拠点を転々と

現在は鳥取県智頭町にその拠点を置く渡邉夫妻ですが、ここに来るまでにいくつもの土地を転々としてきました。

東京出身のお二人が初めて開業したのは千葉県いすみ市。その後、拠点を岡山県勝山に移します。その理由は「水」。よりよい水を求めての移動でした。

「岡山に移転を考えていた時に、千葉の地下水をもって岡山の水道水と比べて歩いたんですよ。そうしたら、千葉の地下水より岡山の水道水のほうがおいしかったんです。」

パンの発酵には水の質が関わるということを発見してから、水に対して敏感になったという格さんは、移転の際には実際にそこの土地の水を飲み、おいしさを比べたといいます。

岡山ではいくつかの土地の水を飲み比べた結果、蒜山の水が最も良いと、2011年に勝山へ移転。岡山では4年間を過ごしましたが、山へ水を汲みに行くことに時間がかかることや、子育て環境などから現在の鳥取県智頭町へ2015年に移転しました。

智頭町移住の決め手は“水”にあり

「智頭に移転するきっかけになったのも、智頭の水を飲んだことが始まりです。夏休みに岩美町に遊びに行く際に、途中智頭の宿に泊まったんですよ。それで、そのときに飲んだ水があまりにもおいしくて、本当に感動したんです。」

その水を口にした当時の気持ちを思い出すように、うれしそうに語る格さん。

「子供達でも、東京に帰って歯磨きをするときに『水がおいしくない』って言いますね。子供は特に敏感に違いを感じています。鳥取市に外食に行ったりしても、智頭のお水との違いを感じます。智頭のお水は美味しいです。」

これまで、水を基本にパン作りをされてこられ、いくつもの土地の水を飲み比べてきたお二人に、ここまで力説させる智頭の水はほかの土地と比べて何が違うのでしょうか。

「水質検査をしても問題はまったくみられなかったですね。つまり数値的にもとても綺麗な水だったんです。しかもこれは塩素を入れていない水で出した結果です。」

渡邉夫妻がこれまで様々な土地をめぐり見てきた中で、水が汚染される原因として考えられたものが、工場や畜産場、ゴルフ場、生活排水などでした。智頭にも工場などはありますが人口が少なく、町の94%を森林が占めている川の源流であり、良い水が手に入る条件が整っています。

伝統技術は昔からのものでしかできない

理想の水を求めて拠点を移してきた渡邉夫妻。そこまで水にこだわり続けることには理由があります。

「水にこだわる理由は、伝統的な発酵技術を使っているからです。」

「昔の人がやっていた発酵技術を再現しようと思うと、昔の環境が残っている場所が必要なんですよ。昔ながらの環境と素材じゃないと変なカビが入ったり、変な発酵をしたりしてしまうんです。」

冒頭でもふれたように、タルマーリーでは空気中から採取した麹菌を使って発酵させる昔ながらの手法でパンを作っています。その伝統ともいえる技術を再現するには、昔から守られてきた清らかなおいしい水や環境が欠かせなかったのです。

「水だけじゃなく、こういう、広くて大きな庭も、東京ではなかなか持てませんよね。鳥取にはこれまでの歴史や文化もあってそれが今でも残ってる。そういう観点で、都会よりも田舎のほうが豊かなんじゃないかなって思います。」

しかし、そんな貴重な鳥取の水も民間企業に売られ始めている現状に、渡邉夫妻は警鐘も鳴らしています。

「自然環境を売り払ってでも経済成長しようという考え方ではなく、価値観の多様性や田舎の存在意義だとか、そういうところを見直していくことが大事なんじゃないでしょうか。」

タルマーリーは、地域の中でモノとカネが動き、なおかつ自然も守られることを提唱する、“地域内循環”という大きなテーマを掲げています。その中で、”モノは有限であり、持続可能性を念頭に置く”という当たり前のことができていない社会に、渡邉夫妻は疑問を投げかけます。

「都会で飲んでいる人は、水が有限だということを知らないし、田舎の人は当たり前すぎて水の良さを知らない。水を守りながらという意識も少ないです。それではいつかこの貴重な資源も枯渇してしまいます。」

きれいな水や豊かな自然、いまだ刻まれ続ける文化や歴史。東京でなくなりかけているものが現存する鳥取ですが、それも有限だということを私たちは知らなければいけません。

昔のものがそのまま残っている。それこそが鳥取の宝

パン作りも自身の生活も、自然と共生しながら過ごす渡邉夫妻だからこそ見えてくるものがあります。

「伝統技術はとても理にかなっています。自然と共生していたときの技術。だからこそ真理。その通りにやった方が気持ちよく過ごせるってことに気が付きました。伝統技術には人間が幸せに生きていくための技が隠されているんです。」

伝統技術に則り、基本を突き詰めていく中で、本当に必要なものと要らないものが見えてきたという麻里子さん。理想の生活は?と問うと、

「今まさに理想の生活をしていると思う。すべての時間を自分のために使えているから。」

と笑顔で答えてくださいました。その表情には迷いなどは一切感じさせません。

「鳥取は都会とくらべ近代化が遅れたからこそ、きれいな水や自然、歴史や文化など昔のものが残っています。それこそが鳥取の宝なんですよ。」

取材後記

普段から自然と向き合い、技術をつきつめてきたお二人のお言葉からは、ぶれのない信念を端々から感じました。そんなお二人が納得する環境が、ここ鳥取にあるということに、私たちがどれだけ恵まれた環境にいるのかを実感します。

このおいしい水の鳥取県に関する取材は今回で三回目でしたが、その魅力を再確認すると同時に渡邉夫妻が提唱する“地域内循環”についても改めて考えさせられる内容になりました。タルマーリーの取り組む伝統技術によるパン製造も、当たり前に蛇口をひねればきれいな水が飲める日常も、鳥取県がこれまで守り続けてきた自然環境があるからにほかなりません。

今では当たり前すぎて、持続可能性という考え方まで至らないことも多いのが現状です。

しかし、このままでは鳥取で現存している環境も10年後にはなくなってしまうかもしれません。格さんの言葉を借りるのならば、“鳥取の宝”をなくさないために、私たちにも考えること・できることがあるのではないでしょうか。

【タルマーリ店舗情報】

住所:鳥取県八頭郡智頭町大背214-1
電話番号:0858-71-0106
営業時間:パン販売(10時〜17時) / カフェ(10時~16時L.O.)/ ピザ(平日11時~14時L.O. 休日11時~15時L.O.)
定休日:火曜・水曜
HP:https://www.talmary.com/
Facebook:https://www.facebook.com/talmary/

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ABOUT ME
けだま
けだま
鳥取大学農学部4年生。学生人材バンク所属(元だっぴプロジェクトメンバー)これまでに50人以上の社会人へのインタビューを経験。取材を通してその人の生き方や価値観に触れられる瞬間がたまらなく好きです。自分らしく生きていける人を増やしていきたい。就職関連情報や、鳥取で活動する人を紹介していきます。ブログ:けだまのブログ